”朝まで残業した場合はどのように計算するの?”

先日表題のような質問を受けました。

今の時代では多くないのかもしれませんが、深夜まで残業し、そのまま帰宅せず始業時間が来てしまうということもなくはありません。

 

まず、平日における残業計算の基本を考えてみると、次のようになります。

①8時間まで…通常の1時間当たり賃金(以下「時間給」とします。)

②8時間を超えた部分…通常の時間給×1.25

③午後10時~午前5時…通常の時間給×1.25

④8時間を超えた午後10時〜午前5時(つまり、②+③)…通常の時間給×1.50

ここまではわかるんですが、じゃあ実際に朝まで残業した場合いくらになるのか、朝5時以降は当日扱いなのか翌日扱いなのか、とかなんとなくもやもやする方もいるようです。私も以前そうでした。

そこで、実際に計算してみましょう。

始業時間は午前9時、終業時間は午後6時(休憩12時~13時)、時給1500円。

この方が朝まで残業し、そのまま翌日の勤務についたと仮定します。

・午前9時~午後6時→1,500円×8時間=12,000円

・午後6時~午後10時→1,500円×1.25×4時間=7,500円

・午後10時~午前5時→1,500円×1.50×7時間=15,750円

・午前5時~午前9時→1,500円×1.25×4時間=7,500円

合計すると・・・

12,000円+7,500円+15,750円+7,500円=42,750円!!えっ1日で!?

これだけ無理させるのだから当然といえば当然ですが、よっぽどの場合でなければこんな残業はさせない方がいいことがわかります。実際こんなにぶっ続けで働けば作業効率も落ちますし、いいことないですね。

なんとなく腑に落ちないのは午前5時~午前9時の部分です。残業し続けてきてきついのに単価が安くなるのか、っていう疑問はありますが、深夜の時間帯ではないため、☓1.25で足りるということになります。

また、最後の午前5時~午前9時の部分は給与として当日分なのか翌日分なのか、ということについてですが、これについて次のような通達があります。

「一日とは、午前〇時から午後一二時までのいわゆる暦日をいうものであり、継続勤務が二暦日にわたる場合には、たとえ暦日を異にする場合でも一勤務として取り扱い、当該勤務は始業時刻の属する日の労働として、当該日の「一日」の労働とするものであること。」(昭和63年1月1日基発第1号、婦発第1号)

https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00tb1899&dataType=1&pageNo=1

 

つまり、午前9時までの分は前日から続く1勤務分(当日分)とし、午前9時以降は新たな勤務分(翌日分)となります。

 

今回のケースで休日がからむとまた少し厄介なことになりますが、それはまたの機会にお話しします。

(大)