〇 障害年金に盲点はありませんか

障害年金を申請するにあたり、何か盲点はないのでしょうか。いくつか欠点がありますので、この機会に覚えておきましょう。

① 老齢年金の繰り下げができなくなる
老齢年金を受給し始める前に、障害年金を受給すると老齢年金の繰り下げができなくなります。

しかし、老齢年金は課税収入であるのに対して障害年金は非課税収入のため、何年も前から障害年金を受給している場合の総受給額は大きく、老齢年金の繰り下げのメリットを上回ると考えられます。

但し、65歳間際に障害年金の請求をする場合は、繰り下げしたときの増額分とよく比較してから決めるようにしてください。

 

② 加給年金が支給停止になる
老齢厚生年金の受給者や1級・2級の障害厚生年金の受給者に、生計を維持されている配偶者がいると、加給年金が加算されます。

しかし、その配偶者が障害年金(3級を含む)を受けられる間は、配偶者は生計維持されているとはみなされなくなるため、加給年金は支給停止になります。

例えば、次の場合には加給年金は加算されなくなります。
(現在)     夫:老齢厚生年金+加給年金    妻:年金なし
(障害年金受給後)夫:老齢厚生年金(加給年金なし) 妻:障害年金

但し、一般的には加給年金よりも障害年金の方が多いので、世帯全員の収入で考えると損にはならないと思います。

 

③ 老齢年金が少なくなる
2級以上の障害年金を受給すると、国民年金第1号被保険者の保険料が全額法定免除になります。

法定免除の期間は2分の1を納付済期間とみなして、老齢基礎年金の受給額を計算するので、法定免除の期間は2分の1しか反映されません。従って、保険料を全額納付した場合と比べると、追納しない限り老齢基礎年金の受給額は少なくなってしまいます。

もっとも、障害基礎年金をずっと受給できる場合は、老齢基礎年金の減額を心配する必要はありません。障害基礎年金と老齢基礎年金はどちらか選択になるので、障害基礎年金を選択すればよい訳です。

しかし、障害基礎年金は障害の状態がよくなると、支給が停止されることがあります。その場合は、65歳以降は老齢基礎年金が支給されますが、全額納付した場合と比べると支給額は少なくなります。

 

④ 傷病手当金が支給されない
健康保険の被保険者が病気やケガで仕事ができず給料がもらえないと、傷病手当金を受給することができます。

同じ病気やケガで傷病手当金と障害厚生年金がともに受給できる場合は、傷病手当金は支給されません。

但し、障害厚生年金(障害基礎年金も支給される場合は合計額)の360分の1の額と傷病手当金の日額を比較して、傷病手当金の方が大きい場合には、その差額が傷病手当金から支給されます。

障害年金にはいくつかの盲点がありますが、結論的に言えば、どれも大きな欠点ではないので、障害年金が申請できるのであれば申請した方が良いと考えられます。

(塚)