〇 64歳11カ月で退職する人がいるのはなぜ??

2025年4月から「65歳までの雇用確保」が義務化されるのに伴って、65歳の退職が増えています。一方で、64歳11カ月で退職した方がお得だ、という話も聞きますがなぜでしょうか。それには、雇用保険と老齢年金が関係しています。

雇用保険は、65歳未満と65歳以降では条件が変わってきます。65歳未満では、20年以上雇用保険に加入した人は、雇用保険の失業給付(基本手当)を150日分受け取れます。

一方、65歳以降は基本手当がなくなり、高年齢求職者給付金を受け取ることになります。但し、この給付金は、基本手当の30日分、または50日分しか受け取れません。

老齢年金をみると、65歳未満では基本手当と特別支給の老齢厚生年金は、同時に受け取ることができません。基本手当か年金のどちらかを、選択しなければなりません。

しかし、64歳11カ月で退職すると、基本手当と老齢年金の両方を受け取ることができるのです。

(下図ご参照)

                                                                                (筆者作成)

例えば、雇用保険に20年以上加入して、基本手当の日額が5,000円とします。64歳11カ月で退職すると、基本手当が150日分支給されるので、合計750,000円受け取ることができます。

一方、65歳以降の高年齢求職者給付金は50日分となり、250,000円を一括で受け取ることで、受取金額は50万円も違ってきます。

但し、定年前の退職は自己都合退職になるので、基本手当の支給までに2カ月(あるいは3カ月)の給付制限がかかります。そして、給付制限および基本手当の支給期間中は、働くことができないので、次の就職先や独立開業が決まっている場合は、64歳11カ月の退職は適しません。

65歳の誕生日の月にボーナスが支給される場合は、ボーナスが受け取れないので注意してください。また、退職金は会社によっては減額されることもあり、社会保険料は1カ月分を自分で負担することになります。

                                                 (筆者作成)

このように、64歳11カ月の退職は雇用保険の面からはメリットがありますが、ほかの面ではデメリットもあるので、退職後のことをよく考えて慎重に決めてください。

(塚)