〇 在職老齢年金はどの月から支給停止になるのか

2024年4月1日から在職老齢年金の支給停止調整額が、48万円から50万円に増額しました。

在職老齢年金は、老齢厚生年金を受給している人で、勤務されて厚生年金の被保険者になっている人が、基本月額総報酬月額相当額が支給停止調整額を超えた場合に、その超えた額の2分の1年金が支給停止になる仕組みのことです。

基本月額は、加給年金を除いた老齢厚生年金を12で除した月額のことです。老齢基礎年金は含まれません。

総報酬月額相当額は、その月の標準報酬月額(月給)とその月以前1年間の標準賞与額(賞与)を12で除した額の合計のことです。

なお、70歳以上で勤務されている人は、厚生年金の被保険者ではありませんが、在職老齢年金の支給停止は行われます。

在職老齢年金の計算例は、次の通りです。

(出所:日本年金機構ホームページの「在職老齢年金の支給停止の仕組み」より)

では、65歳に定年退職して、しばらくゆっくりしてから再就職した場合、在職老齢年金の支給停止はいつから対象になるのでしょうか。

再就職した月は支給停止の対象にはならず、翌月から支給停止の対象になります。在職老齢年金は、

前月から引き続いて被保険者である人を対象としているので、月の初日あるいは途中で再就職してもその月は対象とならず、翌月から対象になります。

(筆者作成)

ただし、退職した直後に再就職した場合、つまり前月から引き続いて被保険者である人であれば、再就職した月も在職老齢年金の対象になります。

上図で、5月まで厚生年金の被保険者で5月31日に退職して、6月1日に再就職した場合は、再就職した6月も在職老齢年金の対象になります。5月の途中に退職、6月の途中に再就職した場合も同様です。

次に退職した場合ですが、退職月は前月から引き続いて被保険者であるので対象になります。翌月以降再就職しないのであれば、翌月から在職老齢年金の対象でなくなります。

月の途中で退職した場合、退職月は厚生年金の被保険者期間にはならないので、厚生年金の保険料は発生しませんしかし、在職老齢年金の対象にはなり、5月の途中で退職した場合の5月分の在職老齢年金は、4月分の標準報酬月額を用いて計算することになります。

在職老齢年金はとても複雑ですが、しっかり仕組みを理解して、うまく対応できるようにしてください。

(塚)